インフルエンザ感染対策の基本は「手洗い」です。 インフルエンザウイルスに感染する要因の多くは、手に付着したウイルスが物品に付着し、そこからまた手を介して鼻や口、目から体内に入ることです。 インフルエンザ感染症の原因となるのはインフルエンザウイルスです。インフルエンザウイルスの最大の特徴は、増殖力の強さです。 ウイルス粒子はひとつの細胞から約1000個作り出されるともいわれ、体内に侵入してから24時間後には1万個ものウイルスが発生します。 体内にはウイルスの増殖をおさえるための免疫機能がありますが、インフルエンザウイルスではウイルスが増殖するスピードに免役機能が追い付かないことがほとんどで、たった1つのウイルスが体内に入っただけでインフルエンザを発症 … 感染対策の基礎知識|1 感染対策の原則 感染成立の3要因への対策と、病原体を 1|持ち込まない 2|持ち出さない 3|拡げない が基本です。 感染成立の3要因と感染対策 感染症は ①病原体(感染源)②感染経路 ③宿主 の 3つの要因が揃うことで感染します。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が話題の中心にありますが、今回の状況を踏まえて感染症がどうやって起こるのかについてお話していきます。このコラムを通じて感染症について詳しくなることで、「新しい感染症を正しく怖がる」ことに繋がって欲しいという思いがあります。, 感染症とは何なのでしょう。今話題の新型コロナウイルス感染症はもちろん感染症ですし、インフルエンザも麻疹(はしか)も感染症です。, 感染症とは身体の外から微生物が入ってきて引き起こされた病気のことです。何を今さらと思う人も多いかもしれませんが、ここに大事なポイントがあるので説明します。, 感染症は「身体の外から微生物が入ってきて引き起こされた病気のこと」ですが、身体に微生物が入ってきたら感染が必ず起こるわけではありません。例えば、喉に溶連菌が入ってきたとしても溶連菌性咽頭炎にならない人がいますし、結核菌が入ってきたとしても結核にならない人はたくさんいることもわかっています。これはインフルエンザウイルスでも同じことが言えますし、おそらく新型コロナウイルスにおいても同様のことが起こりうると想定されます。, 微生物が体内に入ってくると、組織(喉、腸、肺など)にくっついて定着しそこで炎症を起こします。この炎症が強くなると段々と症状が見られるようになり感染症となるわけです。, 例えば、インフルエンザウイルスは喉の奥(咽頭)に侵入して定着し炎症を起こすことでインフルエンザが成立しますし、肺炎球菌が肺の組織に侵入し炎症を起こすと肺炎球菌性肺炎が成立します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は鼻の奥や喉の奥や気管、肺などで感染が成立しやすいことがわかっています。, 一方で、人間の身体には簡単には感染症を起こさせないような仕組みがあります。これがいわゆる免疫システムの類のもので、侵入した微生物を異物として認識して排除するように働きます。ここではあまり詳しくは書きませんが、次のようなものが免疫システムを構成するものとして挙げられます。, 大雑把に言うと、「組織のバリア」は微生物を臓器に侵入・定着させないようにするための仕組みで、「自然免疫」は侵入してきた微生物を異物として捕食したりしながら反射的に排除するようなものです。, 一方で、「獲得免疫」は一度体外から入ってきた微生物を認識して、感染が長引いた時や同じ微生物が次に侵入してきた時に活かされる仕組みです。この免疫記憶には「抗体」という物質が重要な役割を果たしています。獲得免疫には微生物を捕食したマクロファージや樹状細胞なども絡んでおり、人間の免疫システムはとても入り組んだ様相を呈しながら身体を守っています。, 免疫システムが効果を発揮している限り、少々微生物が侵入してきても感染症にならずに済む場合が多いです。また、体内には常在菌という形で多くの細菌が住み着いており、これらが侵入微生物が増殖するのを邪魔してくれるというのも大事なポイントです。腸内フローラや善玉菌という言葉を聞いたことのある人もいると思いますが、腸内の常在菌バランスを保つことで消化管の感染症を予防してもらうのが狙いです。, しかし、入ってくる微生物の量が多い場合や免疫機能が低下している場合は、どうしても感染が成立しやすくなります。さらに、微生物によっては侵入しても感染症を起こさないタイプもあれば、少量が侵入しただけで感染症が起こるものもあるので、微生物の人体への毒性(専門的にはビルレンスといいます)も感染症が起こるかどうかに関わってきます。, この3つのポイントを逆手に取ると感染が起こりにくくなる予防策に繋がります。詳しくは最後の章で説明しますので是非覚えてください。, 感染症は微生物によって起こりますが、免疫システムがどの程度効果的に機能しているのかにも大きく関係します。要は「体内に入ってきた微生物の勢いと免疫システムのバランスによって、感染が起こるのか起こらないのかが決まる」というわけです。, 実はこれは感染症の発症のみならず、病状の進行程度や治り具合にも関連しています。つまり、微生物の勢いが免疫システムを上回っている場合には病気が進行してしまい、微生物の勢いよりも免疫システムのほうが上回っている場合には病状が快方に向かうことになります。風邪で受診したらお医者さんが「よく休むようにしてくださいね」と言うのには、この免疫システムを少しでも高めようという思いがあるのです。, 「病気が完治した」という言葉を聞いたことあると思います。多くの人のイメージの通り、完治とは漢字の通り病気が完全に治ったことを指します。, ただし、ここで少し知っておいて欲しいことがあります。いろいろな病気が世の中に存在しますが、実は完治しない病気は結構多いのです。例えば肺がんは手術がうまくいって完全に切除できた場合には完治となりますが、関節リウマチや脳梗塞など完治が難しい病気はたくさんあります。感染症においても同じことが言えて、風邪(急性上気道炎)の多くは完治しますが、HIV感染症は完治できないことで有名です。また、水痘(水ぼうそう)のウイルスは症状が消えた後も体内に潜み続け、免疫システムが弱まると勢いを増して帯状疱疹を起こします。, このように完治できない病気が少なくないことは事実ですが、完治できないといけないわけではないということは忘れてはいけません。完治しなくてもきちんと病気をコントロールできていれば、天寿を全うできることも少なくないので、症状が起こらないように気をつけながら、身体に無理をかけないような生活を送ることで、病気と上手に付き合っていくことが出来ます。新型コロナウイルス感染症が完治するのか気になる人も多いと思いますが、まだ確定的なことを言えない状況です。ですが、少なくとも症状が改善して検査が2回陰性となって退院している人は多くおり、回復すれば今まで通りの日常生活を送れるようになることは間違いなさそうです。, とはいえ予防できる感染症は予防するに越したことはありません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が問題となっている昨今で、みなさんは感染症について興味が深まっていることと思います。このコラムの最後に、「どうやったら感染症になりにくくなるのか」について考えてみたいと思います。, 先ほど感染症が起こりやすい状態についてお話しました。感染の予防はこの状態にならないように心がけるのがポイントです。つまり、次のことを心がけるようにしてください。, これらを心がけても完全に感染症にならないようにすることは難しいですが、感染症になりにくくなるのは確かです。新型コロナウイルス感染症に際して専門家たちが繰り返し「手洗い(orアルコール消毒)と咳エチケットをしてください」と言っていた理由も理解しやすくなると思います。, 新型コロナウイルスに関連して、早急なワクチンの開発が求められています。一般的なワクチンに関して、今市場に出ているものは国が接種を推奨しているわけですし、感染症を専門とする医師を中心にほとんどの医師は接種を推奨しています。一方で、副反応の懸念からワクチンに対して否定的な意見を持っている人も少なくないと聞いています。確かにワクチンによって副反応が出現する可能性は少ないながらも存在するので、主張の内容は理解できます。しかし、「流行病においてワクチンがあるとないとでこうも状況が違うのか」という事実を今我々は目の当たりにしているわけです。, 新型コロナウイルスに対して抗体を持っていない状態で対峙しているからこそ、我々はいま脅威にされされています。しかし、これはほぼ全ての感染症について同様に起こりうることで、インフルエンザについても同じことが言えますし、麻疹についても同じことが言えるわけです。極論を言うと、ワクチンがなければ人は感染症にかかることでしか抗体を作ることができません。抗体のないナイーブな人だらけの世界ではどんな状況になりうるか、医療者を含めた人類全員が再認識させられています。, おそらく多くの人がこの状況に対して恐怖を感じており、だからこそ新型コロナウイルスに対するワクチンの誕生を期待しているのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは早くも中国や米国で早くも実証段階に入ったという話が出ていますが、安全性を担保しつつできるだけ早く完成に至ることを期待しましょう。そして、それまでは罹患する人が増えないように日常の中でできることを凡事徹底していく気持ちが大切です。, きっと僕らは医療者も非医療者も、この試練を通して、感染予防のあり方やワクチンの重要性の理解を深めていくことができると思っています。個人の努力で感染症を打破することは難しいですが、みんなの努力で難局を乗り越ええることはできるはずです。そして、この経験は次の新たな感染症の出現の場面に活かされることでしょう。, ※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新情報まとめ:患者数(感染者数)、死亡者数、気をつけるべき点など(2020年10月16日更新), 白っぽい下痢と嘔吐が特徴。大人もうつる感染性胃腸炎「ロタウイルス」の症状・治療・予防法は?, ソビラックス、バルトレックス、カチリなど・・・水痘(水疱瘡、みずぼうそう)に使う薬剤について解説, アトピー性皮膚炎の抗炎症薬外用剤にJAK阻害薬「デルゴシチニブ軟膏」が登場:ステロイド外用薬・タクロリムス軟膏との違いとは?, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するインターフェロンの有効性についてわかっていること(2020年10月6日), 本サービスにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。, 感染症はどうやって起こるのか?新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに感染症について考えてみる. 10万人分の感染量です。本当はキリよく1万人分を指につけてみたのですが、写真では見えませんでした。実は ではなくて、チョコレート0.01gで撮影しました。 1gあたりノロは1〜10億個、10〜100個の摂取で感染として計算しました。 インフルエンザウイルスに感染している人が咳やくしゃみをして、インフルエンザウイルスを含む唾液や鼻水などの分泌液の小粒子(飛沫)を周囲に飛び散らせることが、インフルエンザ感染を拡散する最大の原因だと考えられています。これを飛沫感染といいます。 感染症とは何なのでしょう。今話題の新型コロナウイルス感染症はもちろん感染症ですし、インフルエンザも麻疹(はしか)も感染症です。 感染症とは身体の外から微生物が入ってきて引き起こされた病気のことです。何を今さらと思う人も多いかもしれませんが、ここに大事なポイントがあるので説明します。

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